2017_07
10
(Mon)00:04

夏風・・・

貫之を賛した歌が気に入って、計四幅ほど景樹の短冊の軸を手に入れた。

そのなかの一幅。

 

P7092369 (384x512)

いちまと♪

  

P7092373 (336x448)

中廻しと一文字。

中廻しは雲? 

一文字は、松葉。

 

P7092374 (384x512)

 

夏風  夏山農楢の葉ワ多る朝可せ尓

     太毛登を丁そ 趨尓遣礼 景樹

 

夏風  夏山の楢の葉わたる朝風に

     たもとを蝶ぞ 趨きにけれ 景樹

 

夏山の楢の葉をわたる朝風に、たもとを蝶のようにひらひらさせてやってきたよ。

 

歌のすがすがしさをそのまま写し取ったか、強調する表装。

画の軸よりも、短冊の軸の表装の方がより内容を暗示したり、強調したりする仕立てになっているみたいな気がする。

飾る季節としては、梅雨が明けてから、の方がぼくとしてはしっくり来るけど、とりあえず届いたので、奥さんに見せるのもかねて掛けてみた。

 

「楢の葉わたる朝風」という句が、昨日の記事にもした、百人一首の従二位家隆の「風そよぐ 楢の小川の夕暮れは禊ぎぞなつのしるしなりける」を連想させる。

 

そして、「たもとを蝶ぞ」が、すごくいい。

夏の朝風にひらひらとはためくたもとが目にうかぶ。

また、「花蝶図」の蝶も連想させる。つまり、荘周夢に胡蝶と為る、とその蝶。

袖をはためかせて、というよりも、景樹くんの気分は、もう、胡蝶。

胡蝶となって爽やかな朝風にのって夏山を巡っている、という趣き。

 

そのほか、古今の貫之の春の歌 「そでふりはへて」(春日野の若菜つみにや しろたへの袖ふりはへて人のゆくらむ)という句を連想したり、また、古今の秋の歌、これは袖ではないけど、「わがせこが衣のすそを吹きかへし うらめづらしき 秋の初風」なんて歌をとりとめもなく思い浮かべたり。

(秋の初風は衣の裾を吹き返すほどでいかにもひんやり冷えてきたとした感じがするけど、夏の風はたもとをひらひらさせる、爽やかな感じ、かな。とはいえ、古今の秋の歌の第一首、「秋きぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」にあるように、風は秋の到来を象徴している。でも、この歌は、なんか理念的、観念的。裾がひるがえったり、たもとがはためく方が、鮮明で具体的なイメージ。ただ、「わがせこが」の歌は、ちょっと万葉っぽい気もする)

 

この歌、すごく気に入った。

歌集などで見るよりも、短冊で、しかも軸になっていると、より、歌にも愛着がわく。

軸に仕立てた人も、きっと、この歌とこの短冊が好きで、軸に仕立てたのだろう。

短冊を仕立てた軸は、どれも細身で、小さくて、愛らしい感じがする。

 

P7092370 (512x384)  

 


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