2017_10
11
(Wed)23:17

中丸万字釜

Category:

なんとなく・・・

というか、13代淨長さんの棗釜を使ってから、どうしても、清右衛門さんの炉用の釜が欲しくなってしまった。

棗釜、使った感じがすごくよかったので。

しかも、できれば、昔の清右衛門さんのがいいなぁ、と。

というか、できれば、風早中納言の軸といっしょに使えそうなの。

 

いろいろかなり悩んだけど、たまたま、でてきたのを見つけた。

PA113801 (512x384)

 

万字釜、っていう。

「卍」が鋳込まれているので。

(ハーケンクロイツではありませんので)

万字釜にはほかにもいろいろカタがあるけど、これは、大徳寺形と呼ばれるもの。

 

箱には識書きが。

PA113768 (448x336)

ちょっと、ほとんど、見ない、というか、初めて見るパターンの識書き。

サイズや鐶付に関する記述は一切なし。

「御釜師 宮崎彦九郎 印」とあるのは、どうやら、筆跡から、12代寒雉らしい。

「壬午 盛夏」とあり、1942年の夏に識書きしたということになる。

「中丸 萬字釜 大西浄元作 無紛」

 

大西浄元、は、ふたりいる。

6代と9代。

6代を「古浄元」、9代を「佐兵衛浄元」と区別したり、年代から、6代を「享保(あるいは、宝暦)浄元」、9代を「天明浄元」と書いたりするようだ。

はてさて、この浄元は一体どっち?

箱に、「六代大西浄元釜」とあるから(ネットに載せてあった箱はそこまであった。その後、紙が破れたらしく、届いたときは画像のよう。念のため、ちがう箱ではないかどうかたしかめてみたが、虫食いの跡などが一致したので同じ箱と断定)

 

6代と9代の違いも、なかなか、ややこしい。

作風はよく似ているらしい。

とりあえず、アップしてある画像を、よくよく見て、精査してみるしかなかった。

いや、ま、6代でも9代でもいいと言えばいいけど・・・^^

というか、大西家のものかどうか、ということの方が重要で。

 

今の清右衛門さんの「茶の湯の釜」によれば、6代から大西家は千家に出入りするようになり、草庵むきの「独自の地肌を持った」作るようになったということ。

また、この6代の時、「大西家風の作風が確立」された。

浄元の釜は、「どちらかと言えば、ざんぐりとしていて上品なおとなしい釜」とのこと。

9代について、「作風は、古浄元と同様に精作で」とあるところから、6代も精作だったのだろう。

と、まあ、こういう、客観的ではない、主観的な言葉だけを頼りに、この釜が大西家の物かどうか、判断したわけで。。。

しかも、実物ではなく、ネットの画像だけ。

 

あと、できる限り見れるだけ、萬字釜の画像を見あさった。

万(萬)字釜って案外希少な釜のようで、ヤフオクに過去三年で10個前後しかでていない。

「どちらかと言えば」とあるように、比較の問題だし、もうひとつには、買おうとしている物がほかと比べてどのくらいのできなのか、とか。

いい出来で、ぼくが気にいれば、たとえ浄元でなくても、誰が作ったのでもいいので。

なかなか、いい出来の釜に思えた。

それに、だいたい、目に留まったのだから、その時点で好みと言えば好みであるわけだし。

 

ただ、ちょっと気になったのが、よく似たので、浄長さんが享保道也作と極めをしてた萬字釜。

なんか、そっくり・・・。とはいえ、その釜ではないことはたしかめられたが、ほんとに、なんか、よく似ている。

(ま、とはいえ、享保頃の物にはちがいないと言うことか・・・)

 

ほかに、やはり浄長さん極めで、「淨味作」というのがあった。

この釜の画像とくらべたとき、「どちらかと言えば・・・」以下の意味が、納得できた気がした。

それに、うちの棗釜になんとなく雰囲気が似ている、というのもあったし。

 

精作、については、これは画像を見れば見るほど、納得できた。

地紋の入れ方が、丁寧だし、なかなか面白くて。

たとえばこういうところ。

PA113771 (512x384)

 

ひだりの雷紋のうえが欠けたようになってたり、一番下の卍紋が、ところどころ擦れて無くなったようになっていたり。

PA113791 (512x384)

 

鐶付のまわり、これも、やれたように卍紋が無くなっている。

(でも、鐶付下の雷文はしっかり)

 

PA113779 (512x384)

あるいは、まったく、一番下の卍紋が消えているところも(もちろん、劣化によって消えたのではなく、そう作られている)。

 

などなど、見れば見るほど、こまかいところにまで神経の行き届いた作行き。

かつ、この荒し方、やれ加減のセンスの良さ。

また、雷紋は芦屋風で精緻な感じで、いっぽう、卍紋はざんぐりとしていているところも面白いと思った。

これを「精作」と見るかどうかは人それぞれとしても、こういう、作り方がとても面白いと思ったし、釜師は相当腕の立つ人ではないかと、判断した。

そして、釜全体の印象としては、「どちらかと言えば、ざんぐりとしていて上品でおとなしい」というのにぴったり。

なので、買ってみた。

 

実物の印象は、おとなしい、というか、あまりにも、しっくり、というか。

なんか、何の抵抗もなく、すんなり、うちにもはまってしまった感じ。

ただ、うちなんかよりもっとふさわしいのは、まさに、草庵風の茶室の炉かなぁ、と。

何気ないが、なかなか。

肌もいい。

PA113781 (512x384)

画像だとこんなもんだけど、実物はもっと、なんというか・・・。

草庵にピッタリ雰囲気。

侘びている、というには品があり、控えめで、それでいてしっくりくる感じ。

 

PA113820 (512x384)

口なども、この画像ではよく見えないが、厚みが一定ではなく、しかも、向こう側のようにガタガタとさせてあるところと、手前のようにすっきりとしたところと。それが、イヤミでなく、すんなりと、とても自然に。

 

PA113818 (512x384)

蓋も、今どきのものとはまったく違っている。

ツマミがかなり小さめ。

また、側面も上面とまったくおなじで、まるで蓋を曲げて上面を側面にしてあるよう。

今どきのは、どちらかというと、側面は切断した断面といった感じ。

 

PA113825 (512x384)

 

ほかにもいろいろあるけど、もうひとつ。

これはやっぱり、この釜をつくった釜師のなみなみならぬ腕を物語るものでは、と思うことが。

上の画像、腰のあたりに一本線が入っている。

一番下の卍紋の下の線。

これを、毛切りというのだけど、この毛切りがとてもきれい。

釜を作るとき、ここからうえの部分と下の部分の型をべつべつに作って、さいごにここで一つにあわせる。なので、ここがぴったり合わさっているかどうかで、腕のほどを知ることができる、とも。

ほんとに細くて、きれいにぴったり。

と思いきや・・・

PA113789 (512x384)

 

ここ。

うえから4枚めの鐶付の画像の、実は、毛切りの部分。

こんなにズレてる^^

とはいえ、これは、偶然ずれたのではないと。

というのも、このほかの部分は寸分違わず、ぴったり。

そして、ここだけがこんな風に。しかも、ずれたところが凸凹となっている。

たぶん、ここだけ、わざとずらしてこんなふうにでこぼこと作ったのではないかな、と。

毛切りは、ピッタリとあわさって細い線が一文字にはいっていれば、それはそれでうつくしいとはいえ、大名が威厳を示すような釜ならもちろんそれでいいが、草庵風となると、それでは風情や面白みがなくなる。

こんなふうらになっているからこそ、この釜の魅力がますわけで。

ネットの画像で見たときもずれていることは知っていたが、実物を見て、そのすごさを実感。

 

のこる心配は底。

水漏れ無しで、ネットの画像で見た限り、そう悪くなっていないように見えたけど、実物を見てみるまでは心配だった。

なんせ古い物なので。古浄元とするなら、250~300年くらい前のものと言うことになる。

PA113794 (512x384)

 

底も、いまの鳴り金の貼り方とはちがっているようだ。

鳴り金が一枚、剥がれているだけで、とくに悪くなってはなさそう。

(感じとしては、ハケメ釜くらい)

試し炊きしてみたが、水漏れもなく、一安心^^

 

ただ、臭いがちょっとした。

鉄のにおい、とでも言うか(ほんとは鉄に臭いはなく、仕舞ってあるうちにいろいろ臭いを吸ったのだろう)。

でも、まあ、二三回焚いているうちに消えていくだろう(二回焚いてみたが、そうとう薄くなった)。

 

錆はほとんど無し(和銑なので、錆が出ないというのは嬉しい。手間が掛からない)。

  

底は、ウブ底。

今でこそ、鍋釜なんてたいした物でもないけど、昔は貴重品。

昭和30年代にアルミ鍋がでるまでは、鉄のこういった物は貴重品だったわけで、しかも、これは、お茶の釜。

なので、とても大切に保管されてきたのだろう。

保管状態もよかったよう。

とにかく、享保だの、宝暦だの、そのままのウブ底。

なので、鳴りは、享保の音、ということかな^^

その鳴りをすこしだけ・・・(実際のほどではないけど・・・)

[広告] VPS 


PA113777 (512x384)

 

菊桐棗とはなんともしっくり。

軸ともわるくない。

あの桐の下の庵のなかでは、この釜でお茶を^^

 

PA113765 (512x384)

 

PA113792 (512x384)

ほぼうえから見ると、なんとなく、ふくらんだ針のないハリセンボンのよう。

 

PA113827 (512x384)

13代とのツーショット(笑

13代の肌は、しっとりとしてみずみずしい若い肌。 

 

PA113803 (512x384)

 


関連記事
スポンサーサイト