2017_11
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(Thu)00:16

黒くない黒茶碗

まだ、自然光で見ていないけど・・・

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黒くないことは、確か、らしい、黒茶碗^^

 

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遠目で見ると、茶色、ブラウン系。

近づいてみると、紫っぽかったり。

もっと近づくと、朱色。

 

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黒茶碗に、朱色が析出している。

朱釉(しゅぐすり)といって、楽代々で初めて作ったのは、一入さん(だったかな)。

この茶碗は、あの赤茶碗とおなじ、弘入さん。

ここは、一番朱なところ。

こんなふうに、ニュウ(ヒビ)から滲みだした様になっている。

手触りも、つるざら。釉薬の表面はつるんとしているが、ひび様に盛りあがっているので。

ただ、つるざらではなく、なんとなく、なんというか、皮革っぽい感じも(たとえば、アメフトのボールとか)。

あるいは、ゴムとか。なんとなく、肌にこれだけで吸いついてくる感じ。

あるいは、そう、漆。

といっても、漆器の硬さはなく、あの独楽棗とか、一閑張りの吹雪のような、そんな柔らかい手触り。

いや、もしかして、朱漆が吹きつけてあるんじゃないか、なんて思ったり(笑

 

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ここが、胴で一番黒いところ。

 

篦目が面白い。というか、いっぱい。

まるで、鉄絵でさくっさくっと、草花などを描いているような感じで入っている(ここも気に入った)。

また、胴の真ん中、一番くびれているところに、横に線が一本。すーと、胴を巡っている。

こんな線を見ると、なんとなく、黄瀬戸を連想するけど、でも、これは、黄色くない。

篦目もこの線も、そして、この茶碗全体に出た朱釉も、作り手のあそび心のあらわれ?

 

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見込みも、ほぼ、赤かったり、茶色かったり。

 

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この茶碗全体で、一番、黒いところ。

この黒は艶があって、深みがあり、とても魅了される。

 

小ぶりで、手の中にすっぽり。

ただ、やや腰が張っているので、左掌には厳つさを感じる。

右掌は、しっくり、ぴったり。

 

赤茶碗は、たっぷりとした、豊満で充実した手取り。

こっちは、ややスレンダーで、左掌には腰がすこしごてっと。

 

箱から出したときは、雲のように軽かった。

あまりにも、手応えもなく、なんか、肩すかしをくらったみたいな。

この感じ、もう、20年以上前、楽美術館の「手に触れる鑑賞会」というので、手にとった、「面影」に共通するような・・・。

長次郎の、「面影」。なんか、期待しすぎたせいか、いたって普通の茶碗だと、やっぱり、肩すかしを食らったような。

雲のように軽かった。まるで、手に持っていないような。高台はしっかりと目に見えていて畳についているのに、まるで、その高台は幻で、その高台の分だけ、わずかに宙に浮いているのではないか、と感じられるような、軽さと、なんでもなさ。

けど、そんな手取りの茶碗なんて・・・考えてみれば、実際には、なかなかないのかもしれない。

そして、その軽さとなんでもなさのおかけで、そのときいっしょに触れたはずのほかの茶碗のことはすっかり忘れてしまい、「面影」だけが記憶に残っている。

ある種の黒茶碗の本質?

 

まあ、とにかく、この黒くない黒茶碗は、「面影」を彷彿とさせた。

「面影」の「面影」^^

  

今も、ブログ書きながら、手にとってみたり。

高台辺りに重心がでて、やや重くなっている。

二服ほどしてみたので、湯が滲みているからだろう。

湯の重さとぬくもり。

あの赤茶碗の本領発揮は、やっぱり、湯やお茶を入れたとき。

なので、亭主は、茶碗を濯いだり、茶を点てたりと、客よりも茶碗に触れる回数も時間も長いので、より茶碗と親密になれるというわけ。

あの赤茶碗は、お茶や湯が入ったときの手取りこそ、ほんとうの手取りで、ここちよい。

この黒茶碗も、やっぱり湯やお茶が入っていてこそ。

湯や茶が入っていると、生きもの。生きている感じがする。じわじわと、それは実際はただ湯がしみ出ているだけだけど、なんというか、この朱釉が息づき、じわじわと皮膚の中に染みこんで癒着して来るみたいで。

そして、お茶を飲むとき、唇との接触は、なまめかしい(笑

(お茶や湯の入っていない、冷えた茶碗では、このなまめかしさはない)

やや厚めの口辺で、なによりも、陶器らしからぬ、やわらかで、弾力のある感触。

あの赤茶碗にはこういうなまめかしさはない。けっこう、ガラス質だから、あのしろい幕釉は。でも、まあ、それほどガラスっぽくはないが。

 

外の篦目も面白いが、見込みの轆轤目のような起伏も面白い。

手びねりだから、轆轤目とは言わないんだろうけど。でも、まるで、味な轆轤目のような起伏が入っている。

きつく突出しているところと、逆に、凹んでいるところと。すーとひとつにつながって、見込みのなかを2~3周している。

 

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土見の見せ方や、高台の感じ、高台内の削り方は、あの赤茶碗に共通している。

ただ、土見のところには艶がある。透明釉がかかっている感じ。

赤茶碗は、しろい、より多孔質な土そのもので、よりかささき、ざらついている。

 

こうやっていろいろ書いてくると、やっぱり、これは黒茶碗か、と動かしがたい気がしてくる。

ぜんぜん黒くないし、胴に横線が入っていたり、勢いのよい、鉄絵のような篦目が入っているけど、黒茶碗だと納得してしまう。

となると、黒茶碗とは、決して色が黒いから、ということではなくなってしまう。

手取りとか、手触りとか。色は二の次? もちろん、この黒釉だから、この手触り、というのはあるだろうけど、必ずしも黒くなくてもいいようだ(ぼくにとっては)。

 

箱はしっかりした四方桟の桐箱だったが、共箱でも、極め箱でもなかった。

なにも書いてない無地の箱。かけてあったのは、黄色の紐(偶然? それとも、以前の持ち主が表千家で習っていた?)。

黄色い布につつんであったが、布も無印。

 

赤茶碗よりもこぢんまりした手取り感が、手にとる者を見込みの宇宙に引き込んでいく。


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